
きままな「あそまなブログ」
2024/06/25
100年先の敦盛の面
我が家には、日本の物や海外の物、食器や家具、人形等古いものがいくつかあります。カップボードと本棚は、イギリスの1800年代後半の物です。気に入って使用しています。「古くて見知らぬ誰かが使っていたものじゃない!」と、友人に言われたこともあります。確かに・・・そうだよね・・・と、思うのですが、ロマンを感じませんか?
フーっと、考えてしまうのです。
この家具たちが、イギリスで誕生し遠く海を渡り日本の我が家に辿り着くまで、きっと100年以上、どんな道を辿って来たのだろうと、私の思いも遠く海を渡り想像を巡らせます。
ショーウインドーに飾られたカップボードや本棚は、若い夫婦が購入し大切に使ってきたのだろうか?記念日ごとに家族の写真をここら辺に飾ったかなあ・・・そして、何年も何年も歳を重ね、老夫婦になるまで傍において、大切に使われてきたのだろう・・・家具たちはジーっと動かず、歴史を紡いできた家族の様子を静かに見てきたのだろう・・・そして、なぜか海を渡り小さな日本の小さな我が家へ・・・なあんて、思いに耽ると・・・すごい!奇跡の出会い!と、幸せになります。
また先日は、夫も私も感激することがありました。
ある縁をいただき、能面を制作している方から「美少年 敦盛」の面(おもて)を頂きました。その面は『十六』というようです。『十六』とは、十六歳の若さで須磨の浦の露と消えた「少年 敦盛」の顔を描いた面です、と教えていただきました。うっすらと髭の跡があり何とも言えない美少年です。室町時代には「稚児の面」と呼んだようです。
また、フーっと考えてしまいます。
ジーっと面を見て、真正面に対峙すると何か話しかけてくるようでもあり、斜め上から見るとうっすらと微笑んでいるようでもあり、斜め下から見ると何とも悲しげな困ったような幼げな感じがするのです。薄命で過酷な敦盛の運命を、心を込めて彫り表現した証なのでしょうか?
1000年の歴史を持つ能の舞、奥が深く、知識の無い私には、雰囲気に浸るくらいしかできません。しかし、我が家にやって来た「美少年 敦盛」・・・大切に、大切に傍に置いておこう・・・完成して間もないこの面は、これから100年何を見ていくのだろうか・・・繋げてあげたい100年、いや200年でも、と思います。
6月半ば、ウオーキングに出かけようとすると、マンションを出たところにカルガモがいました。次の日はマンションの庭の小さな池にいました。この時期赤ちゃんを産む安全な場所を探しているのでしょう。カルガモは4月から7月、草むらや藪の下に巣作りするそうです。カルガモが、元気に自分たちで巣作りができる豊かな自然も、この先100年も200年も残してほしいと願うばかりです。